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↑「杜美」とかいていただきました


水曜日、うどんをたべた帰り道


長町商店街のとある店先で、

取り皿によさそうな器が置いてあった
5客1050円とある

 

「いっすんぼうし」 引っ越してきたころから気になってたお店

朝市で買い込んだ野菜やあぶらげで愛車メアリーのかごはいっぱいだったが、
ちょっとのぞいたら帰ろうとそのまんまにし、鍵だけかけて店内へ

 

「見せていただいて、いいですか」
「はい、どうぞ」

 

編みこみ模様のセーターのだんなさんが、レジのところにいらっしゃった

 

うちのおとんは旅先なんかで焼き物を作るのがすきだし、
ふくちゃんはふくちゃんで、食器棚に入りきらないほどの器狂いだから
わたしの器好きは遺伝だろう 洗うのはそんなにすきじゃねぇが

 

3人とも土のものがすきだけど、やっぱりそれは手ざわりのちがいだな
磁器だとどっかひんやりするもんね
フローリングと畳の温度差みたいなもんかな

 

ひとの手で触れてもそうなら、
のっけられるごはんやおやつだってそう感じるはずでしょ

土ものに盛られると、煮物やおひたしもおいしそうに見えるのは
きっと気のせいなんかじゃない

 

いっすんぼうしには、だんなさんが仕入れてきた器がお客さんを待ってる
ディスプレイの機材も無機質なものは使っていないので、みていてとても愉しかった

 

取り皿はいろんな種類があった

なかに仲居やってたときとおんなじ形のがあって、
ああ、これにはタコの酢の物が盛ってあった…とか思い出したよ
黒こしょうがきいてておいしかった、安定が悪いから運ぶのに気を使ったなあって

 

結局、迷い迷って湯のみを連れて帰ることにした

見た目よりも軽くて、わたしの手のひらにすっぽりおさまるんだよ
これで茶、飲んだらうまいはずって思ったわけさ

 

店内には書や、画が飾られていた
表のかべにもおなじ書体でお店のことが書かれてある

きけば、だんなさん自らがお書きになったそうだ

 

「自由でいいと思うんです、自由なまんまが」

 

この字を書きたい
この魚を描こう

そう思ったときに筆をとる

 

他にもしたいことややってみたいことがたくさんあって、
時間がたりないのだと話してくださっただんなさんと、
ちょっとした共通点が見つかって興奮する

 

だんなさんのお父さんの旧姓が、わたしの苗字とおんなじだったんだ

 

石巻市からいまの地元に転校してからというもの、
わたしは否応無しにこの苗字で呼び捨てにされ続け
すきなにいちゃんからですら、苗字でしか呼ばれんかった
いい思い出なんかない なのに

 

だんなさんはさ
しおり大の紙のすみからすみまで使って
その苗字を書いてくださったんだよ

わたしの卑屈さを蹴ったぐるような、のびやかな勢いのある筆運びで

 

そしてあつかましくも杜美とかいてくださいとお願いしたのが
今日の画像でござんす

朱印は白抜きの「い」 いっすんぼうしの「い」


いいことも、わるいこともある いろんなひともいる
そういうのをたべものみたいに口に入れ、味わって栄養にする

 

「なにもかにも噛まなくたっていいんですよ」

 

だんなさんはそう言った

 

あからさまに苦くて身体に悪いものだってあるなら
口に入れて気づいた時に、すぐ吐き出してしまえばいいんだよと

 

(わたしみたいに)いちいち噛んで味を確かめてたら、
時間も体力ももったいないよと

 

あれもしたい、これもしたい
できるだけたくさんのことを成したいなら、ちゃんと見定めなけりゃな

 

しっかし、すきなことを、ていねいにやり遂げてきたひとの言葉ってさあ
どうしてすとーんと響くんだろう
こういうひとに会うと、いっつもすげーなあって思う

 

でっかい木みたいだよね

風が吹いても揺るがなそうなこの安心感

 

いっすんぼうしは、
こないだ紹介した豊年まんじゅう本舗から川へと向かう途中にある

今度ふくが仙台にきたら、かならず連れてってあげようと思う

 

「ああ、買っても入れるところがない~、でも、これいいわあ!」

 

あのよそゆきのたっかい声で言いながら、
棚から棚へうきうきねり歩くのが、目に見えてるけども


今日も、この街でうれしいものと、うれしいひとと会った

くるくると、めぐりめぐって順番に会いにゆくようになってる気がする
焦んなくたっていいや ほったらかしときゃあさ、いつか着くだろ


明日は、2回目のお花見

夜より昼の花見のほうが、性に合ってる

さっきマゼランで半額のお惣菜を買い込んできた
おそとでたべるごはん、なんであんなにうまいんだろうな

 

それでは桜の下で

またあした

 

けいじばん