↑仙台・長町1丁目商店街「豊年まんじゅう本舗」の三色だんご。
旅先なんかで出身を聞かれ「宮城です」と答えると、7割くらいの確率で「ああ、仙台ね」と言われる。
18のときにおんぼろアパートに住んで以来、いまの部屋は4つめなんだけど、
でもそのあいだだって実家に戻ったりべつの土地に行ったりで、実質の在住年数はたいしたことがない。
だから「ようこそわたくしの庭へ!」ってほど、仙台のことをよく知らん。
「宮城=仙台」という図式があたりまえのようにはびこってるのが、なにやらとても納得いかなくてさ。
県北育ちのいなかもんとしては、あまり居心地がよろしくない。
なのにそこで「ほかになにがあるの?」って切り替えされても、ありきたりのことしか言えなかったんだ。
松島、政宗、七夕。
もち。ホヤ。萩の月、牛タン、ずんだ、笹かまは白謙。
スケート・冷やし中華の発祥地。仙台四郎。宗さん。鈴木京香さん。
(たべものの割合が多いのは、個人的な独断と偏見に基づいるものなのでしょうがない)
仲居をやってたときはこんなん説明してたけど、もっとこう、なにか目玉はないもんかねと思ってた。
そしたら引っ越し先の近所に世界でここだけ!って場所があるじゃあないか。ひとつ満足。
さっきは銀行だの郵便局だの用事をすましてから川に行くつもりだった。
愛車メアリーをふっとばし、通り過ぎた店先に、なにやらとても心ひかれるものをとらえた。
数メートル、ざざーっとバックし、見つめたそこには、
ショーケースに並ぶ、もちもちっとしてそうな和菓子の数々が。
がんつきの上にのった、たくさんの胡桃…
まっしろい薄皮からのぞく、まんまるのあんこ…
やきもちのきつね色の焼けぐあい…
うちのおとんも愛してやまない道明寺…(「花より男子」なら西門さん派←報われないひとに弱い)
そしてなにより、この三色だんごの愛らしさ!
めんけーべ? めんけーっちゃ?
あれもこれもとやかましく注文した品を、だんなさんが青い紙袋につめてってくれた。
「ここではじめて、50年」
「えー、そうなんですか! うちの父母とおんなじだわー」
とってもおだやかで楽しいだんなさんだった。もう品格がさ、顔ににじんでるんだもん。
こういう職人さんがさ、手作業でひとつずつこしらえたものをいただけるのって、しあわせだな。
形づくったその手で包んでもらい、店頭で受け取れる、このうれしさ。
おかしも、ごはんも、写真も映画も音楽でも。
生み出したひとを知ってるのと知らないのでは、味わい方も、響き様も、まるでちがうでしょう。
ひとつで2度も3度もおいしい気分になれるって、なんたるお得感だろね。
そこらじゅうが山吹色に照らされる夕方の川へ。おお、風つよし。
堤防に座ってだんごをくわえた。風にあおられた自分の髪の毛先まで、いっしょにもぐもぐたべた。
そんでも、うまいもんはうまいのだった。なんたって創業半世紀だよ。
「今度は、ごまもちも買おう」と決意するわたしの腹に、三色のだんごたちは無事おさまった。安らかにあれ。
川ぞいの桜のつぼみもな、色濃くふくらんでおったよ。
仙台のみなさん、今年のお花見のお茶うけには豊年まんじゅう本舗の三色だんご、おすすめです。
帰り道、100円ショップで包丁と、めん棒を買う。うどん打つとき用のやつ。
めん棒、予想以上に長くて太い。48センチ。これで殴られたら、さぞや痛いことだろう。
おいしいうどんを打つぞ
めしなかまのみなさん、たべにきてな
またあした
けいじばん